【関連書籍のご紹介】勝俣誠、マルク・アンベール編著『脱成長の道−分かち合いの社会を創る』(コモンズ)が刊行されました

出版社のコモンズより、勝俣誠、マルク・アンベール編著『脱成長の道−分かち合いの社会を創る』が刊行されました。「脱成長」や「つましくも、豊かで、幸せな暮らしをどうつくるのか」という内容の書籍であり、今回上映する映画「幸せの経済学」の内容ともまさに合致しているテーマの本です。

 共著者の一人である中野佳裕さん(国際基督教大学助手・研究員、立命館大学非常勤講師)のご好意により、上映会会場においてこの『脱成長の道』を著者割引価格(1900円⇒1600円)にて販売いたします。ぜひ、お手にとってご覧ください。

 なお、中野佳裕さんには、5月28日(土)午後5時よりこの上映会会場と同じ会場で行なわれるATTAC京都5月例会「『脱原発』と『脱成長』の正義論」(『脱成長の道』刊行記念イベント)にてご講演いただきます。


【以下、コモンズのHPより転載】
http://www.commonsonline.co.jp/datuseichou.html


脱成長の道
 ―― 分かち合いの社会を創る

勝俣誠、マルク・アンベール編著
本体価格1900円+税
四六判/280ページ
2011年5月

ISBN-10: 486187078X
ISBN-13: 978-4861870781

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格差が広がり,原発が破綻し、
地球環境の限界が明らかになるなかで、
つましくも、豊かで、幸せな暮らしをどう創るか。
簡素な生き方から見えてくる共に楽しく生きられる
<コンヴィヴィアル>な世界を11人が多様に描き出す。

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<目次>

◇ 3・11 フクシマへのメッセージ ◇   
  フクシマからコンヴィヴィアリズムへ アラン・カイエ
  フクシマ原発災害で日本が変わる⁉ セルジュ・ラトーシュ
  楽しい世界へダウンサイジングしよう マルク・アンベール
  一つの文明の終わり 西川 潤 11
  ヒロシマからフクシマまで「だいちとうみとにんげんをかえせ」 勝俣 誠

まえがき 脱成長への道は可能だ マルク・アンベール、勝俣 誠

第Ⅰ部 簡素に生きる

 【1】〈脱成長〉の道──つましくも豊かな社会へ セルジュ・ラトゥーシュ
1 数量化された最大幸福の破綻
2 共愉にあふれるつましさのなかで再発見される幸福
3 〈脱成長〉の〈道〉

 【2】 〈脱成長〉の正義論 中野 佳裕
1 祝島に根付く贈与の文化──社会の持続的な再生産の論理として
2 原発建設計画と危機にさらされる生態系
3 生存をかけた住民運動が示す日本の経済発展の構造的問題
4 社会正義を再構築する
5 〈脱成長〉社会へ

 【3】 南北格差と「南」の豊かさ 勝俣 誠
1 「南」は本当に貧しいのか
2 「南」の内包する二つの豊かさ――認識論からの考察
3 「開発国家」ニッポンの追いつき論の限界――経済学からの考察
4 東南アジアの追いつき論――一九六〇年代初頭の映像『メコン』を手掛かりに
5 「南」の追いつき論の限界――「開発」概念再考の切り口 
6 南は南へ、北は北へ――追いつかなくていい世界に向けて

 【4】 良き生活へどう変えていくか パトリック・ヴィヴレ
1 維持不可能な、過剰な/節度のない生活
2 満たされない心──過剰な生活の原因と産物
3 よりよい分かち合いへ移行するための戦略
4 伝統と近代との対話
5 トランジション・タウンの三脚の論理

第Ⅱ部 コンヴィヴィアリズムが拓く〈世界〉

 【1】 ラディカルな社会主義としてのコンヴィヴィアリズム アラン・カイエ
1 分かち合いの技法としてのコンヴィヴィアリズム
2 コンヴィヴィアリズムの最大の魅力
3 われわれのあらゆる諸悪のいくつかの原因
4 普遍化し、急進化した社会主義へ向けて
5 世界を守る 151

 【2】 生命系と地域主義に立脚した経済の実現に向けて 丸山 真人
1 四半世紀前の問題提起
2 狭義の経済学から広義の経済学へ
3 生産力のポジとネガ
4 生命系の経済と地域主義
5 現実に応用できる広義の経済モデルへ

 【3】 社会主義も資本主義も超えて マルク・アンベール
1 「優れた」社会を再構築するための道
2 社会にとって必要な新しい理想像
3 妥当かつ公平な社会
4 富を創造し、分かち合う社会
  
第Ⅲ部 本当の幸福について考えてみよう

 【1】 社会的責任の分かち合いのための政策的枠組み──未来の展望の再生 ジルダ・ファレル
1 「生活の質の向上」への道
2 熟議に基づく政治メカニズム
3 合意形成と責任

 【2】 生活充足度の新たな指標を地域でつくる ミシェル・ルノー
1 地域別生活充足度指標の作成
2 アンケート結果と作業手続きに関する基礎的な考察
3 相違を明確にし、尊重する

 【3】 生活の質の向上のためのアプローチ サミュエル・ティリオン
1 危機から脱出する眼差し
2 「進歩」を測るアプローチ
3 充足した生活のための八段階
4 市民的かつ民主的知性への信頼

 【4】 日本人が本当に幸福になるために――生活の豊かさの測り方 西川 潤
1 幸福への関心
2 一人あたりGDPと生活の満足度のギャップ
3 幸福度を表す社会指標――国連の人間開発指標の意味
4 区民総幸福度、GNH、足るを知る経済
5 中道こそが幸福への道
6 倫理の再興

あとがき 勝俣 誠、マルク・アンベール


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<著者プロフィール>

セルジュ・ラトゥーシュ(Serge Latouche)
1940年生まれ。経済学者、哲学者。パリ第11大学名誉教授。邦訳書『経済成長なき社会発展は可能か?――〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学』(中野佳裕訳、作品社、2010年)。

中野佳裕(なかの・よしひろ)
1977年生まれ。国際基督教大学助手・研究員、立命館大学非常勤講師。開発学博士。専攻:国際開発論、平和学。主論文「ポスト開発思想の倫理――経済パラダイムの全体性批判による南北問題の再検討」『国際開発研究』第19巻第2号、2010年。訳書『経済成長なき社会発展は可能か?――〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学』。

勝俣誠(かつまた・まこと)
1946年生まれ。明治学院大学国際学部教授。開発経済学博士。専攻:国際政治経済論、アフリカ地域研究。主著『アフリカは本当に貧しいのか――西アフリカで考えたこと』(朝日新聞社、1993年)、『グローバル化と人間の安全保障――行動する市民社会』(編著、日本経済評論社、2001年)。

パトリック・ヴィブレ(Patrick Viveret)
1948年生まれ。哲学者。元フランス会計院司法官。国際プロジェクト「人間性の対話」共同提唱者。

アラン・カイエ(Alain Caillé)
1944年生まれ。パリ第10大学教授。経済学博士、社会学博士。邦訳書『功利的理性批判――民主主義・贈与・共同体』(藤岡俊博訳、以文社、2011年)。

丸山真人(まるやま・まこと)
1954年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻:経済人類学、人間の安全保障。主著『多元的経済社会の構想』(共編著、日本評論社、2001年)、『アジア太平洋環境の新視点』(共編、彩流社、2005年)。

マルク・アンベール(Marc Humbert)
1947年生まれ。レンヌ第1大学教授、日仏会館内フランス現代日本研究センター長。経済学博士、経営学博士。邦訳論文「人間と社会のための新しい経済学的知に向けて」『情況』2002年10月号。

ジルダ・ファレル(Gilda Farrell)
1950年生まれ。経済学博士。欧州評議会社会的紐帯研究開発局長。

ミシェル・ルノー(Michel Renault
1963年生まれ。レンヌ第1大学准教授。研究分野は経済思想史、交換の社会関係など。

サミュエル・ティリオン(Samuel Thirion)
1952年生まれ。農学者、社会経済学者。欧州評議会社会的結合・研究促進部局行政官。

西川潤(にしかわ・じゅん)
1936年生まれ。早稲田大学名誉教授。学術博士。専攻:国際経済学開発経済学。主著『人間のための経済学――開発と貧困を考える』(岩波書店、2000年)、『データブック貧困』(岩波書店、2008年)。